メイソンリーヒーター初火の入れ

山にも雪が降ったので、ドームハウスにも火を。

例年より少し早いですが、冬の楽しみの1つである、メイソンリーヒーターに初火の入れをしました。

レンガづくりのメイソンリーヒーターは、梅雨や夏の期間にレンガに水分を含むため、ゆっくり火を入れながら、冬の本番に備えて調整していきます。

新著「宇宙学校」にも、メイソンリーヒーターは紹介しているので、その内容を転載。

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暖房の自給

「メイソンリーヒーター」

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こうして始まった、国産材と日本の職人技術をフル活用した前代未聞のドームハウス作り。

それは一筋縄には行かず、試行錯誤を繰り返し、何度も不可能とも思える課題をクリアしながらの道のりでした。

国産ヒノキでドームハウスの構造体を作り、壁や床材には国産の杉をふんだんに使い、断熱材は地球環境にやさしく湿気にも強いセルロースファイバーという紙屑の自然素材をベースに、ヘンプの繊維も混ぜ込み、漆喰や珪藻土の自然素材で仕上げた壁にもヘンプを混ぜています。

ドームハウスは半分を吹き抜けの空間として作ることが多く、頭上の空間が開放的であることが大きな特徴なのですが、そうすると当然ながら空間容積が非常に大きなものとなり、寒冷地などでは暖房の種類に工夫が必要となります。

八ヶ岳は、普通の石油ストーブでは到底暖を取れず、薪ストーブなどが必要になるほどの寒冷地。しかも、一般的な住居用のドームハウスは直径10m前後であるのに対して、このドームハウスはよりによって直径14m、天井の高さも7m以上と特大サイズなのです。

普通の鉄製の薪ストーブではその前方だけしか暖まらず、ドームハウス全体の空間を暖めるのにはとても十分とは言えません。

そこで取り入れたのが、鉄ではなくレンガで造る薪ストーブ、その名も「メ イソンリーヒーター(ストーブ)」というものです。

メイソンリーヒーターは蓄熱レンガのストーブ本体が熱を蓄えて、その放射熱によって遠赤外線を生み出します。

すると、ドームハウスは球体であるがゆえに、大気が対流し熱が家中を循環するのです。

完全オーダーメイドであり、空間に合わせて自由にサイズも調整できるのが メイソンリーヒーターの特徴なのですが、本来は北欧や東欧、ロシアなどで使われているストーブであり、日本で作れる人は 人もいないと言われています。

ところが、これまた偶然にも八ヶ岳近郊には、その中の一人である職人がいて、 オリジナルのメイソンリーヒーターも作れることに。ストーブとは思えないほ ど巨大な構造物となりましたが、その巨体そのものが蓄熱し、ドームハウス全体を暖め、ネックであった暖房問題も無事にクリアすることができました。

また、燃料となる薪については、敷地内の伐採した木を使えばいくらでも燃 料の自給は可能であり、水に続いて火の自給も暖房部分については達成されました。

ところで、暖房の自給というのは、実はこれからの時代においては非常に重要なテーマとなってくることが予想されます。

実際、ドームハウスも何度か停電に見舞われたことがあり、その中には真冬 の夜に長時間停電するということもあったのですが、その時にはこのストーブ に本当に救われました。

エアコンやコンセントを繋ぐ形式のファンヒーター等 は停電の際には使えなくなるので、電気を使わずともすぐに使える暖房器具は、 住む場所を問わずどなたであっても準備しておいた方が良いと思います。

なお、八ヶ岳エリアは一般的には避暑地としても知られており、冬の寒さは 厳しいものの、その分夏は天国でもあり、標高1000mの森の中ともなれば、 冷房は一切なくとも快適に過ごすことができます。

ドームハウスにはいくつかの開口部の広い窓があり、また天井にも天窓がた くさんあって、それらは日中に照明が不要なほど太陽の光を内部に取り入れる だけでなく、外からの涼しい風を引き込んで、天窓から暖かい空気を抜けさせ ることもでき、夏場はこの窓の仕組みが気温を下げるのに非常に役立ちます。

そのため、冬の暖房費を抑えることさえできれば、年間を通しての光熱費は かなり節約できます。

このように、ドームハウスは暖房から冷房に至るまで、空間が循環している ことによって非常にエコであるだけでなく、構造そのものが少ない材料で空間 容積としては最大のものを作れるということが特徴であり、環境問題が騒がれ る昨今の時代においては、とても注目される建築であると思います。(転載終了)

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