やつはグループの農業を担当する
「八ヶ岳ピースファーム」
の来年度の管理農地の計画が出ました。
まず、田んぼだけで
「3.3町歩(24枚)」という大きさ。
1町歩=(約3,000坪)なので、ちょうど1万坪ほどです。
よく大きさの目安で言われる東京ドームが、約14,000坪なので、
段々と東京ドームに近づいて来ました。
これに加えて、畑も2町歩(約6,000坪)ほど。
2021年は、一気に管理する農地が拡大する見込みです。
八ヶ岳南麓(山梨県北杜市)では、
「農業やりたい人」
「農地を貸したい人」
を
「公益財団法人農業振興公社」
という行政の一部の公社が間に入り、休耕地や耕作放棄地の担い手を探してマッチングしています。
当然ながら、今の日本は、どこも
「深刻な農業の担い手不足」
であり、ここ八ヶ岳も移住者や就農者は他よりも多いとはいえ、
少子高齢化の大波は避けられず、年々農業を離れる高齢者、農地を手放す人が急増しています。
そのため、圧倒的に
「農業をやりたい人」
よりも
「農地を貸したい人」
の方が多く、特に今年はコロナ禍などの影響も加わったことからか、
いつも以上に農地を手放す人が増えました。
“やつは”もあり、八ヶ岳ピースファームの本拠地でもある
山梨県北杜市大泉町西井出地区は、一部大規模農家もハウス栽培などやっていますが、
法人規模で農業をやっている農家が少なく、ほぼ個人農家が小規模で細々とやっています。
それぞれ、毎年抱えている農地を管理するだけで手一杯であり、
むしろ年配の農家は、どんどん農地を手放す方に。
その結果、ここのエリアで休耕地が出てくると
「ピースファームさんこちらはどうですか?」
「ピースファームさんあちらもどうですか?」
と真っ先に相談されます。
うちも法人とはいえ、個人農家と大差がないほど少人数で活動しており、
とても多くの農地を抱えるほど余裕はありません。
でも、来年の計画は、田んぼだけでも、例年の倍以上に増えており、それには経営を度外視した別の理由が・・・。
「ピースファームさんがダメなら、あとはなく、長野のレタス農家さんにお願いするしか・・・」
うちが空いた田畑を管理しないと、その先に担う農家が近隣にはおらず、
お隣の長野県の大規模レタス農家へ農地を貸し出すと言います。
「そういえば、最近は近隣にも急にレタス畑が増えて来たなぁ」
と思っていたら、そんな背景があったようです。
これは実は大きな問題があります。
レタス農家もビジネスでやっているので、文句を言える筋合いではありませんが、でも、長野の高原レタスの栽培手法は、非常に環境や人体に有害なのは有名な話。
大量の農薬が散布され、化学肥料も大量に使われ、大地や水も汚れてしまうだけでなく、風で飛散して近隣の空気も汚れてしまいます。
敏感な子供や赤ちゃんなどは、その農薬の影響ですぐ鼻血が出てしまうほど。
よりによって、そのレタス畑は、子供達の通学路などのエリアに年々増えています。
そして、こういった人体にも危険な農薬散布などの作業は、日本人ではなく、
このコロナ禍にも関わらず、外国人労働者を多数雇っており、早朝にトラックがやって来て、
外国人がソロゾロ降りて、一生懸命農薬を散布しております。
それがどれだけ環境を痛め、そして周囲の人々、何より自分たちの身体も痛めているかも知らず。
国際交流といえば聞こえは良いですが、実際は劣悪な環境下で最低賃金も下回るような就労条件で雇っていることが多く、よく外国人が農場を脱走して行方不明になる話も聞きます。
そういった中で、治安の悪化についても心配している声も耳にします。
「うちが断ったら、その先は他県のレタス農家?それは断れんなぁ」
と言いながら、増えに増えて来年はとんでもない大きさに。
八ヶ岳ピースファームの農法は、むしろ完全真逆であり、無農薬、無化学肥料で、その土壌、水、周囲の環境や生態系がより良くなることを心がけております。
普通の農薬や化学肥料を使う慣行農業でも、少人数で1町歩を管理するのは容易ではないことですが、手間暇がかかる自然栽培で、何町歩もやっていくことは、とても手が回らないのが事実。
人件費だけで破綻してしまいます。
「いよいよここまでが、単独でやる限界かな」
そう判断し、来年からは、会社、スタッフだけで農地を管理、守っていくのではなく、共同体(コミュニティ)で活動していくことをプランニング中です。
年々移住者も増え、様々な個性あるグループも多数誕生している八ヶ岳。
それらの個人やグループを「農」で繋ぎ、1人ひとりが農家にならずとも
「半農半X」
で自分ができることで参加して、この地域の農業、大地、水、空気、自然環境すべてを守っていく活動を実践しようと思います。
百姓ゆえに“100”の仕事量を1人、2人でやるのは大変な作業でも、100を100人でやれば、1人は「1」の仕事量で済むもの。
昔の農業、特に田んぼは、地域住民みんなが総出で助け合って運営していたと思います。
今の時代、それを機械やITを上手に使って、より効率的にカッコよく、楽しく運営していくことが大事なポイントのように思えます。
この農業を取り巻く今回のような問題は、このエリアに限らず、全国各地で起こっていること。
自給率だけの問題だけでなく、誰かがしっかり管理しないと、食の安全、環境の保全など、農地をきっかけにより大きな問題に広がっていきます。
「でも、いくら田んぼを増やしても、売り先がないとボランティアにも限界が」
もちろん、ボランティアメンバーで自分たちの自給分だけをうまく循環させていけたら理想ですが、農家の多くも生計を立てるには、生産物の販売も視野に入れる必要があります。
コミュニティもまた、規模が大きくなれば、それなりに経費も必要となり、農業の事業化も考えないといけません。
そこで、自然農が広がっていく最終出口にあるのが、やはり加工品としての活用。
その中で、今、注目度No.1とされるのが
「ミキ」
という乳酸菌発酵飲料です。
参考記事:2020.09.07「令和 赤碗の世直し」
奄美大島や沖縄が発祥の長寿の秘訣と言われる最強の伝統的叡智。
材料は、お米とサツマイモ、そして綺麗な水だけ。
それらは日本全国どこでも栽培可能であり、さらに常温で発酵するため、季節問わずして生産できます。
つまり、全国どこでも、誰でも、いつでも作り出すことができ、さらに腸内環境を整え、飲む人の健康も整え、その結果、材料として生産される農地が自然環境を良くする。
個人使用のための生産だろうが、ビジネスだろうが、自然栽培で作られたミキが普及すればするほど、日本全国が綺麗に元気になる。
人の世界も自然の世界もWinWinとなる理想的な循環が、お米(田んぼ)を使った加工食品にはあります。
来年は、キブツ八ヶ岳として、農地を共同体で管理しながらも、こういったミキ事業などの雛形を作れるように活動していく予定です。
「手に負えないから、うちもこれ以上は田んぼはいらないです」
と断るのは簡単でしたが、頭では無理でも、とりあえず受けた上で、どうするかを考える中で、生まれた様々なプロジェクト。
「やりません」
と決めた時点で、未来は閉ざされますが、
「やります」
と決めると、無限の可能性が開きます。
もちろん
「やります」
と
「できます」
は違うので、無責任になんでも
「できます」
と言って、あれもこれも抱えて、結果周囲に迷惑をかけるようなことは
本末転倒ですが、覚悟を決めたら、
「どうすればできるか?」
を考えれば、必ず道が開けます。
同じ出来事に対しても
「できる方法を考える人」
「できない理由を探す人」
この2タイプにはっきりと世の中は分かれます。
このことは、何度も伝えて来ていますが、
もしご自身のこれまでの歩みの中で
「なんだか思うように物事がうまくいかない」
と感じることがあれば、自分がどちらのタイプかを内観すると良いと思います。
個人的には
「できない理由の思考回路が先に来て、本当はできることは山ほどあるのにもったいない」
と思う人をたくさん見ています。
この原因を自己肯定感や幼い頃の成功体験などと言ったら、キリがないですが、
今からでも、いつでも、タイプを切り替えることができるので、
是非とも、日々の日常の中で自分の思考パターンを観察することをお勧めします。
「あっ、今できない理由を探している!?」
と気づき始めたらシメたもの。
その自分も否定せずに受け入れ、そこから敢えて普段ならNOと断る案件もYESと返事してみるとか。
これまでの自分とは違う、小さな変化の積み重ねが、やがて人を大きく変えていきます。
八ヶ岳の農村コミュニティ。
令和3年(2021年)より、本格的に活動スタート。
まずは11月中にミキ(田んぼ)を中心とした来年度のプランを発表しますので、
是非とも来年の活動にお力添えください。