「日本一(世界一?)の黒糖作りの職人」
と言っても過言ではない、叶農園の叶辰郎さんのもとを訪ねる機会に恵まれました。
奄美生まれ、奄美育ちの叶さん。
自営の飲食業など、色々な仕事をやって来たけど、本当にやりたかったのは、実は農業だった。
でも、家庭も持ち、農業で食べていくなど、とても言えずに我慢しながら生きるために必要なお金を稼ぐために仕事をしていると、ある日に大病で生死の淵を彷徨うことに。
今から20年ほど前の出来事。幸いにもこの世界に帰還した叶さんは、それまで口にも出せず、やることが出来なかった大好きな農家に思い切って転身。
自らを
「地球防衛隊。1人だけど(笑)」
と名乗る叶さんは、集落でも奇異な目で見られようと、完全に無肥料、無化学肥料の自然栽培でサトウキビ、タンカンなどの柑橘類の栽培を1人でやって来ました(もちろん奥様の支えもあって)。
土づくり、剪定にこだわり、勉強と研究を重ね、自然栽培とは思えないほど、サトウキビは巨大に育ち、柑橘類も肉厚で皮までピカピカ輝き、そしてどれも抜群の美味しさ。
そして、借金までして工房を作って始めた黒糖作りも、こだわりのこだわり。
そもそも、無化学肥料、無農薬のサトウキビの管理も大変なものですが、1町歩(約3000坪)の畑の作付けも全部手植え、収穫も手刈りのこだわり。
「なぜ、そこまで手刈りに?」
その理由は、機械で刈り取ると、雑草から小動物、虫などの余計なものも一緒に混じってしまうから、1本1本丁寧に手刈りをするとか。
そして、自製の巨大な釜にて、この手刈りしたサトウキビを4時間薪の火にかけて、じっくりと煮込みます。
サトウキビ全体から、黒糖がとれるのは、わずか10分の1。
手作業としては極めて大きな面積を栽培し、気の遠くなるような手間暇をかけて育てて、加工しても、わずかな黒糖しか出来ません。
でも、それだけ手塩にかけた黒糖だけに、もう衝撃の美味しさで感動でした。
特に、一般市場には出すことのできない、生キャラメルのようなしっとりタイプ(写真右)の幻の黒糖があり、これがもう絶品の中の絶品。黒糖の常識が変わります。
ちなみに、生産量が限られており、またかなり注文がたまっている状態なので、通常版にしても、なかなか手に入らない貴重な黒糖のようです。
とにかく、本気でやりたいことを取り組むことの大事さ。できない理由を並べるのではなく、とにかく実践すること。
周囲に協力者がいなくとも、コツコツと自分は自分の道を進むと、結果必ず報われることなど、叶さんの生き方を聞く中で、多くの人々に伝えたい叡智がてんこ盛りでした。
来年1月末頃より、農家レストランもオープン予定。
さらに、この先にゲストハウスの整備も企画中。
でも、どれも夫婦だけでやっているので、この先ボランティアスタッフは大歓迎されること間違いなし。
是非とも皆様も地球防衛隊の一員としてお仲間に。