ただいま”シャバット”のイスラエル。
初イスラエルで
「キブツ(共同体)」
と同じく印象的だったのが
「シャバット(安息日)」
という存在。
イスラエルは、週に1度、公共交通機関からお店、あらゆる活動がストップしてしまう日があります。
毎週金曜日の日没から土曜日の日没まで。
この期間は、公務員だけでなく、みんな仕事をしてはいけない。
“仕事”というのは、いわゆる給料の出る労働だけでなく、ありとあらゆる行動すべてです。
火を使うこともNG。
家電製品を使うのもNG。
カメラのシャッターを押すのもNG。
エレベーターのボタンを押すのもNG。
書くこともNG。
スマホを使いのもNG。
運転をすることもNG。
とにかく金曜日の夕方を迎えると、あらゆる活動をしないで1日休まないといけない。
休みと言っても休暇ではないので、出掛けないで家族や大切な人と神聖な時間を過ごす。
街は車も走らないでゴーストタウンのようになります。
日本なら年に1度、お正月はお店も全部休み、主婦も家事や料理からも解放されて、家族が集まり、何もしないで休むように、イスラエルは毎週1回お正月がやってくるようなもの。
もちろん、今や経済大国のイスラエルであり、また観光客も多数いたり、ユダヤ教への入れ込み方も人それぞれになったきたのて、昔よりはだいぶ緩くはなっているみたいですが、それでも未だにシャバットはバリバリ健在。
滞在中のホテルも、金曜日の夜に
「シャバット・エレベーター」
に切り替わり。
シャバット・エレベーターとは、全自動といえば聞こえは良いですが、完全各階停車のエレベーター。
「ボタンを押してはならない」
というルールがあるため、本来エレベーターは使えなくなりますが、そうは言ってもホテルなどは大変なので、苦肉の策としてボタンを押さずとも各階に自動的に止まるエレベーターがシャバットには動き出す。
シャバット(安息日=あんそくにち)の起源は、旧約聖書の創世記にまで遡る。
「こうして天と地と、その万物は完成された。神は第7日にその仕事(メラハー)を完成された。すなわち、そのすべての仕事を終わって第7日に休まれた。神はその第7日を祝福して、これを聖別された。」
つまり、神様が天地創造を6日間働いてやり遂げ、7日目に休んだので、神の子である人間、神の民であるユダヤ人もまた、6日働いたら7日目は必ず休まないといけない。
モーセの十戒で有名な十戒(10のルール)にも
第4戒「安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。」
と、シャバットは唯一出てくる大事なことなので、ユダヤ人にとってシャバットは、どんなに近代化しても絶対的に守るべきこと。
この資本主義、グローバル社会において、シャバットは、経済的損失も大きいし、何かと不便もありますが、それよりも戒律を重視し、神との約束を大事にするのがユダヤ人。
1948年に国が再建されるまで、1900年間も
「家(国)なき子」
の流浪の民として世界に散ったユダヤ人ですが、彼らが歴史とアイデンティティを失わずに国を再建できたのは、このシャバットがあったからとも言われています。
「ユダヤ人が安息日を守ってきたのではない。安息日がユダヤ人(イスラエル)を守ってきた」
という格言があるほど。
イスラエルを訪問される方は、必ずシャバットを頭に入れておかないと、移動や観光が制限されたり、帰国日などに重なると飛行機にも乗り遅れたりと大変なことにもなりかねません。
でも、このシャバットを皆が大切にしている意識こそ、ユダヤ人という民族の強さと豊かさであると感じます。
スマホ依存症の今の時代、日本も週に1度はデジタルデトックスも兼ねて、静かに瞑想的に過ごすのも良いですね。
金曜日のシャバット・ディナーのメインは、お寿司でした。
イスラエル人はみんな
「SUSHI!」
と叫んで喜んでいて、寿司は大人気でした。