枯れる人、腐る人

枯れる人、腐る人。

ナチュラル・ハーモニーといえば、全国の自然栽培農家と提携し、自然栽培の野菜セットなどを全国へ宅配する最大手。

その代表の河名秀郎(かわなひでお)さんといえば

*日本で自然栽培という言葉を普及させた人
*奇跡のリンゴのネーミングの名付け親

としても知られている、日本の自然栽培農業を陰でプロデュースしてきた大家です。

以前、ミキで繋がるオンライン講座のゲストとして八ヶ岳で取材させて頂きましたが、今回は河名さん講師の生産者向けのセミナーが八ヶ岳で開催されることになり、八ヶ岳ピースファームスタッフ全員で研修として参加。

16歳の頃、4歳年上のお姉さんが、ガンを患って壮絶な死となり、それを見た河名さんは

「大往生する」

と心に決め、18歳で出逢った自然栽培という存在に、その可能性を感じ、やがて3坪の八百屋から日本トップの自然栽培スペシャリストに。

今年64歳になる河名さんは、一度も病院も薬にも頼らず、また家族も同様に医療費ゼロ。

間違いなく河名さんは大往生するでしょうし、河名さんのような人が1人でも増えたら、日本の医療費問題も簡単に解決することでしょう。

何より世界一の平均寿命(84.3歳)で長寿と言われる日本ですが、健康寿命(74.1歳)とのかえりは大きな問題。

寝たきり、痴呆、健康ではない10年は、家族を含めて負担も大きく、何より自分自身もつらいもの。

ただ生かされるよりも、自分で生きる日を1年でも1日でも多く過ごすことが、大往生の道であると思います。

健康寿命を引き上げるには、河名さんのように病院や薬に頼り過ぎず、そして普段からの食生活に注意をはらう必要があります。

ただ、この食生活の中で、注意しなければならないことは、今は山ほどありますが、野菜1つの選択でも、消費者が知らないこと、誤解していることはたくさん。

「健康を意識しているので野菜は有機野菜(オーガニック)を選んでます」

という方も多いですが、日本の有機JAS規格の有機野菜には、様々な盲点が潜んでいます。

*化学肥料=危険
*有機肥料=安全

と思っている人も多いようですが、有機は有機でも、その有機肥料が”何”であるかによって安全性も大きく変わってくるもの。

鶏糞などの動物性は、その動物が何を食べているかが問題。

抗生物質やホルモン剤たっぷりの飼料を与えられた動物であれば、そこから生まれる有機肥料は、発酵しているからとはいえ、どこまで安全か怪しいもの。

それは出来上がった野菜やお米の腐敗実験をすれば一目瞭然であり、化学肥料の作物よりも、有機肥料の作物の方が腐敗度が高いケースも珍しくはありません。

「でも、オーガニック野菜は農薬が使われてないから、まだ普通の野菜よりは安全では…」

と思う方もいますが、有機JAS規格は、始まった当初から18種類ほどの認定農薬があり、最近はそれが増えて33種類、またこの先はさらに倍以上に増える可能性も指摘されています。

「無農薬・無肥料」

という言葉と

「有機栽培(オーガニック)」

という言葉は、全然別物であり、もっといえば

「無農薬・無化学肥料」

と書かれていても、それは有機栽培かもしれず、自然栽培とは限りません。

さらに自然栽培の定義も曖昧なものであり、河名さんの自然栽培はその場にあるもの以外のものを畑や田んぼに投入するのは、基本的にNGとなります。

「奇跡のリンゴ」

は、カットして置いて放置しても腐らずに自然に時間をかけて枯れていくことで有名となりましたが、本当の自然栽培の作物は、どれも同じような現象となります。

「奇跡じゃないんだよね」

と、名付け親の河名さんは伝えてますが、食べるもので成り立つ人間もまた、出来れば腐るよりも美しく枯れていきたいもの。

八ヶ岳ピースファームの野菜も、もちろん無農薬、無肥料で自然に枯れていく野菜となり、食べる人の健康寿命が伸びるように心を込めて栽培中です。